やおよろずのもり八百万の杜

神様は、なぜ「一柱」と数えるのか― 知っているようで知らない、柱と神様の話 ―

夜の社に立つ一本の御柱と、しめ縄。神様を柱と数えることのイメージ

神社の由緒書きに、こんな一文を見かけたことはないでしょうか。 「ご祭神 三柱」。 鉛筆は一本、犬は一匹、紙は一枚。ではなぜ、神様だけが「柱(はしら)」なのでしょう。

この数え方には、日本人が神様をどういうものと考えてきたかが、そのまま残っています。

神様は「降りてくる」もの

日本の神様は、もともと決まった姿を持ちません。 ふだんは山や海や天にいて、祭りのときに人の世へ降りてくる——そう考えられてきました。 そのとき、神様が降り立つ目印になるものを依代(よりしろ)と呼びます。

依代になるのは、まっすぐ天へ伸びるもの。大きな木、岩、そしてです。 神様を数えるときに「柱」を使うのは、この考え方から来ているという説が有力です。 ※由来には諸説あり、はっきりした定説はありません。

古事記の最初の一行も「三柱」

『古事記』は、天地のはじまりに現れた神様の名を挙げたあと、「この三柱の神は、みな独神(ひとりがみ)となって、身を隠された」と記します。日本最古の書物の、いちばん最初から「柱」で数えられているのです。

造化三神(ぞうかさんしん)

  • ・天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
  • ・高御産巣日神(たかみむすひのかみ)
  • ・神産巣日神(かみむすひのかみ)

出典:『古事記』上巻

さらに国生みの場面では、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が天の御柱(あめのみはしら)を立て、 その柱を互いに反対まわりに巡って夫婦の契りを交わします。 神話の中で、柱は国が生まれる場所そのものでした。

いまも立っている、神様の柱

伊勢神宮 内宮、五十鈴川に架かる宇治橋の鳥居
伊勢神宮 内宮の宇治橋の鳥居(写真:MaedaAkihiko / CC0・掲載にあたり切り抜き・縮小しています)。写真に写っているのは参道の入口で、心御柱ではありません。

伊勢神宮の心御柱(しんのみはしら)

正殿の床下の中心に立てられる、最も神聖とされる柱です。人の目に触れることはなく、 二十年ごとの式年遷宮でも特別に扱われます。建物を支えるための柱ではありません。※この柱の写真は世に出ていません。人の目に触れないものだからです。

諏訪大社下社の棚木場に置かれた御柱(御用材)
諏訪大社下社の棚木場に置かれた御用材(写真:Araisyohei / CC BY 4.0・掲載にあたり切り抜き・縮小しています)

諏訪大社の御柱祭(おんばしらさい)

寅年と申年、七年目ごとに行われる大祭です。山から切り出したモミの大木を人の手で曳き、 社殿の四隅に建てます。柱を建てることが、そのまま神事になっています。

古い民家の土間から天井へ伸びる太い大黒柱
古い民家の大黒柱(イメージ画)

家の大黒柱

家の中心の太い柱を大黒柱と呼びます。大黒天にちなむという説、 「大極柱」から来たという説などがあり、由来ははっきりしません。 いずれにせよ、柱を特別なものと見る感覚は、暮らしの中にも残っています。

まぎらわしい数え方の一覧

神様柱(はしら)

天照大御神が一柱、須佐之男命が一柱。神様だけに使う特別な数え方です。

神社社(やしろ)

「三社参り」のように使います。祀られている神様の座を「座(ざ)」と数えることもあります。

鳥居基(き)

石灯籠や墓石など、据え置く大きなものと同じ数え方です。

仏像体(たい)・軀(く)

仏様は「一体」。ただし信仰の対象として敬うときは「一尊(いっそん)」とも数えます。

お札・お守り体(たい)・枚

神札は「一体」と数えるのが本来です。授与所で「お一体」と言われるのはこのためです。

人(にん)・名(めい)

神職の方も、人として数えるときは「一人」です。

よくある疑問

Q. なぜ神様を「柱」と数えるのですか?

A. はっきりした定説はありませんが、神様は姿を持たず、木や柱などに依り憑くと考えられてきたことに由来するという説が有力です。神様が降りてくる目印を「依代(よりしろ)」と呼び、柱はその代表でした。

Q. 「柱」は何と読みますか?

A. 「ひとはしら」「ふたはしら」と読みます。三柱は「みはしら」、四柱は「よはしら」です。数が多いときは「八百万(やおよろず)の神々」のように、柱を使わない言い方もします。

Q. 神社はどう数えますか?

A. 「社(やしろ)」で数えます。三つの神社をお参りすることを「三社参り」と言うのはこのためです。神社に祀られている神様の座は「座(ざ)」と数えることもあります。

Q. 仏様も「柱」ですか?

A. いいえ。仏像は「体(たい)」や「軀(く)」で数えます。敬って「尊(そん)」と数えることもあります。神様の「柱」とは区別されています。

あなたを守る神様は、どの一柱?

お名前の画数から、八百万の神々の中の一柱をお伝えします。
その神様の神話・ご利益・祀られている神社まで読めます。

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