やおよろずのもり八百万の杜

調神社(つきじんじゃ)参拝記― 鳥居のない神社で、うさぎを探す ―

入口で迎えてくれる狛うさぎ
入口で迎えてくれる狛うさぎ

はじめに

守護神めぐりの二日目は、埼玉の浦和から歩きはじめました。 最初に訪ねたのは調神社(つきじんじゃ)。天照大御神をお祀りする古い社で、 鳥居がないこと、そして狛犬のかわりにうさぎが迎えてくれることで知られています。 くもり空の下、参拝帖にメモを書きながら、境内のうさぎを探して歩いた記録です。

浦和駅から、町を抜けて

JR浦和駅。駅ビルの下から歩きはじめる
JR浦和駅。駅ビルの下から歩きはじめる

JR浦和駅から、歩いて10分ほど。駅前のにぎわいを抜けると、すぐに落ち着いた住宅地と古い商店が混ざる町並みに変わります。

神社のすぐそばで見かけた、赤い看板のラーメン屋さん「華月」
神社のすぐそばで見かけた、赤い看板のラーメン屋さん「華月」

神社のすぐそばには、赤い看板に「ラーメン」ののれんを下げた、昔ながらのお店がありました。 年季の入った店構えに、浦和の古い町の空気を感じます。

鳥居のない入口

通りから見た調神社の入口。鳥居はなく、石段の上で狛うさぎが待っている
通りから見た調神社の入口。鳥居はなく、石段の上で狛うさぎが待っている

通りから見ると、まず不思議に思うのが鳥居がないことです。石段の左右に石の柱と狛うさぎがあるだけで、そのまま境内へ入っていけます。

石段の上から。左右の台座の上に狛うさぎ
石段の上から。左右の台座の上に狛うさぎ

境内の由緒書きより(要約)

天照大御神・豊宇気姫命・素戔嗚尊の三柱をお祀りする、延喜式に名のある古い社。 第十代崇神天皇の命で、伊勢神宮の斎主・倭姫命がこの清らかな地を選び、神宮に納める貢ぎ物(調物)の御倉を建てた。 その貢ぎ物を運び入れる妨げになるとして鳥居と門が取り払われ、いまに至る。

「調(つき)」は、昔の税として納めた貢ぎ物のこと。社の名前そのものが、伊勢へ納める品を集めた場所だった歴史を伝えています。

社号標。「調神社」の文字
社号標。「調神社」の文字

狛犬ではなく、狛うさぎ

もう一体の狛うさぎ。前足をそろえて、こちらを見下ろす
もう一体の狛うさぎ。前足をそろえて、こちらを見下ろす

入口の左右で迎えてくれるのは、狛犬ではなく狛うさぎです。 「つき」が「月」に通じることから月待ちの信仰と結びつき、月の使いとされるうさぎが神使になったと紹介されています。 ここから先、境内のあちこちでうさぎ探しが始まりました。

境内は、うさぎだらけ

手水舎
手水舎
手水の水は、うさぎの口から
手水の水は、うさぎの口から

手水舎では、うさぎの口から水が流れています。手を清めながら、思わず顔がほころびます。

向かい合う一対のうさぎの像
向かい合う一対のうさぎの像
境内の池。水の中の岩の上にも、うさぎの像
境内の池。水の中の岩の上にも、うさぎの像

池の中の岩の上にも、うさぎ。神楽殿には、今年の干支の馬が描かれた大きな絵馬が掛けられていました。 窓辺には、小さなお座敷にうさぎを飾った細工もあって、見つけるたびにうれしくなります。

神楽殿と、干支の馬を描いた大きな絵馬
神楽殿と、干支の馬を描いた大きな絵馬
窓辺に飾られた、うさぎのいる小さなお座敷
窓辺に飾られた、うさぎのいる小さなお座敷

歴史を感じる社殿

社殿へ続く参道(まわりの方はぼかしています)
社殿へ続く参道(まわりの方はぼかしています)
調神社の社殿
調神社の社殿

参道の先に、緑青の屋根の社殿。安政5年(1858年)に建てられた権現造りの社殿と紹介されていて、 彫刻の重なる正面は、まさに歴史を感じる佇まいでした。

「祝 七五三詣」の札が掛かる社殿の正面
「祝 七五三詣」の札が掛かる社殿の正面
「調神社」の提灯
「調神社」の提灯
社殿の正面の上。真ん中に龍、左右の端にはうさぎの彫刻
社殿の正面の上。真ん中に龍、左右の端にはうさぎの彫刻

お参りしながら見上げると、正面の上には大きな龍の彫刻。うろこや爪まで細かく彫り込まれていて、思わず見入ってしまいます。 よく見ると、その下の梁の左右の端にもうさぎが彫られていました。

梁の端の彫刻。波の上を跳ねるうさぎ
梁の端の彫刻。波の上を跳ねるうさぎ
社殿の釣り灯籠。真ん中に菊の御紋、まわりの面にはうさぎの紋
社殿の釣り灯籠。真ん中に菊の御紋、まわりの面にはうさぎの紋

その下に下がる釣り灯籠には、真ん中に菊の御紋。まわりの面をよく見ると、ここにもうさぎの紋が描かれていました。 うさぎ探しは、社殿の中まで続いています。

✍ 境内で書いたメモ

とても落ち着いた、静かな神社。年配の女性の参拝者が目立つ。本殿も、歴史を感じる佇まい。 10月なのに、季節外れの蝉の鳴き声が境内に響いていた。

調神社には、鳥居がない・境内に松がない・うさぎが神使…といった七不思議が伝わっていて、 その中には「蚊がいない」「蝿がいない」という話もあるそうです。蚊も蝿も見かけないかわりに、この日は季節外れの蝉の声が境内に響いていました。

おみくじは、中吉

引いたおみくじ。第十番・中吉(くわしい文面はぼかしています)
引いたおみくじ。第十番・中吉(くわしい文面はぼかしています)

おみくじを引くと、第十番の中吉でした。はじめに鶯を詠んだ歌が添えられていて、 くもり空の境内で読むと、春を待つような気持ちになります。

境内の社めぐり

調宮天神社。たくさんの絵馬が掛けられている
調宮天神社。たくさんの絵馬が掛けられている

境内の調宮天神社には、学問の神さま・菅原道真公がお祀りされています(社の前の案内板より)。 合格を願う絵馬がびっしりと掛かっていました。

朱の鳥居の先にある稲荷社
朱の鳥居の先にある稲荷社
ガラスの覆い屋に守られた境内の社
ガラスの覆い屋に守られた境内の社

境内には、江戸時代中ごろの享保18年(1733年)に建てられた旧本殿も残っていて、さいたま市の文化財に指定されています。 うさぎの彫刻があることで知られますが、公開は外観のみです。

車で来る人も多い

境内の参拝者用駐車場
境内の参拝者用駐車場

✍ 境内で書いたメモ

神社の中に駐車場があるので、車での参拝者も多い。

境内には参拝者用の駐車場があり、車で訪れる人も多く見かけました。 駅からは歩いて10分ほどなので、電車で来て、町並みを眺めながら歩くのもおすすめです。

あなたの守護神は、天照大御神?

お名前の画数から、十柱の中のあなたの守護神をお伝えします。 調神社の主祭神・天照大御神や、 ともにお祀りされている須佐之男命(素戔嗚尊)が出るのは、どんな名前の人でしょう。

守護神を調べる

よくある疑問

Q. 調神社は、なんと読みますか?

A. 「つきじんじゃ」と読みます。「調宮(つきのみや)」とも呼ばれます。

Q. 調神社は、どこにありますか?

A. 埼玉県さいたま市浦和区岸町3丁目です。JR「浦和」駅から歩いて10分ほどで着きます。境内には参拝者用の駐車場もあり、車で来る人も多く見かけました。

Q. なぜ鳥居がないのですか?

A. 境内の由緒書きによると、昔この地に伊勢神宮へ納める貢ぎ物(調物)を集める御倉が建てられ、その運び入れの妨げになるとして鳥居と門が取り払われたことが始まりで、いまもそのままになっています。

Q. なぜ狛犬ではなく、うさぎなのですか?

A. 「つき」が「月」に通じることから月待ちの信仰と結びつき、月の使いとされるうさぎが神使になったと紹介されています。入口の狛うさぎのほか、手水舎や池にもうさぎがいます。

Q. 調神社には、どんな神さまがお祀りされていますか?

A. 境内の由緒書きによると、天照大御神・豊宇気姫命・素戔嗚尊の三柱です。境内社の調宮天神社には、学問の神さまとして菅原道真公がお祀りされています。

この記事の写真とメモは、八百万の杜の参拝帖を使って、その場で記録したものです。 一日目の東京の五社は守護神めぐり 東京参拝記にまとめています。

参考にした資料

  • ◆運営者が参拝したときに見たもの・撮った写真・書いたメモ(境内の様子、参拝者、蝉の声、駐車場、龍の彫刻、釣り灯籠の菊の御紋とうさぎの紋、おみくじ(第十番・中吉))
  • ◆調神社 境内の由緒書き(運営者が撮影)(御祭神三柱、延喜式内社、倭姫命と調物の御倉、鳥居と門が取り払われた由来)
  • ◆調神社 境内社・調宮天神社の案内板(運営者が撮影)(御祭神 菅原道真公、学業成就)
  • ◆さいたま市「文化財紹介 調神社旧本殿」(享保18年(1733年)、市指定有形文化財、兎の彫刻、外観のみ公開)
  • ◆たびこふれ「調神社」(社殿は安政5年(1858年)の権現造り、七不思議、浦和駅から徒歩10分、参拝者専用駐車場)